
クラスの子どもたちが主体的に動いてくれない。
いつも指示待ち。受け身。
どうしたら、進んで行動できる子になるんだろう。
こんな疑問について一緒に考えていきましょう。
✔️本記事の内容
- 要チェック!指示待ち・受け身な子どもたちの3つの事例
- 指示待ち、受け身になってしまう理由
- 指示待ち人間を作らないための方法
わたしは音楽活動を10年間→教員経験7年目の現役小学校教員です。
現在は音楽専科をしています。
これまでの経験をもとに、みなさんに有益なお話をしていきたいと思います。
要チェック!指示待ち・受け身な子どもたちの3つの事例
あなたのクラスにもいませんか?
指示待ち・受け身になっている子どもたちの具体的な事例を3つ挙げてみます。
その①:気付いているのに誰もやらない
- 朝教室に入っても誰も電気をつけない
- ぞうきんや学級文庫が乱れているのに誰も整理しない
- 明らかに暑い、寒いのに誰もエアコンを入れない
- 内線電話が鳴っているのに誰も取らない
こんなことありませんか?
先日あるクラスの担任が遅れて出勤するとのことで、朝代わりにそのクラスに入りました。
もうすぐTV朝会だというのに、電気もエアコンもついていません。
教室が暗いことに子どもたちは気付いていないのでしょうか?
そんなことはありません。
気付いているけどやらないのです。
誰かがやるだろうという思考になっていて、自分がやろうとはならないのですね。
その②:〇〇していいですか?と聞いてくる
- トイレに行ってもいいですか?
- もうデザート食べていいですか?
- 黒板消していいですか?
どれも子どもたちからよく聞く言葉ですよね。
少し考えたら、自分たちで答えを出せそうなことまで聞いてくることがあります。
つまり、自分で判断する力が欠けているのです。
あるいは、判断基準が「大人が許可してくれるかどうか」になっているのです。
実はよくできる子、真面目な子ほど、このように確認してくることが多いです。
その③:人に合わせてばかりいる
- 〇〇ちゃんがいるからこっちにする。
- 自分の気の進まないことにもYESといってしまう。
- 誰かが手をあげるのを確認してから手をあげる
これも行事のグループ決めや、アンケートを取る時などに見られる様子です。
必要以上に人の意見を気にしている状態ですね。
よく言えば協調性があるとも言えるので問題になりにくいのですが、裏を返せば自己主張ができないということでもあります。
「自分はAだと思うけど、みんながBだと言っているからBにしておこう。」
こういう思考が進むと他人の意見が気になりすぎて、自分の考えに自信が持てなくなります。
また、自分の決定=他人の意見なので、自分が決めたことへの責任感も無くなってきます。
指示待ち、受け身になってしまう理由
実際このような子はたくさんいますよね。
なぜこうなってしまうのか。
様々理由はあると思いますが、一つだけ挙げるとすればこれです。
過度なルール化により、子どもが考えて行動する機会を教師が奪ってしまっている。
例えば、こんな具合です。
- トイレに行くときは、必ず報告をすること。
- エアコンや内線電話には触ってはいけません。
- デザートは必ず最後に食べましょう。
こんなこと言っていませんか?
要は、子どもたちが考えなくてもいいように、様々な場面で先に制約を作り出しているのです。
決まり事が多ければ多いほど、子どもたちは迷うことがなくなり行動しやすくなります。
担任としても、ルール化してしまった方がコントロールしやすいからです。
しかし、これこそが子どもが自分の頭で考える機会を奪っているのです。
ここまで読んだ方は、もしかするとこう思うかもしれません。

「いやいや、ルールがしっかりしていないと学級が安定しないだろ。」
「安全管理上、報告させることは大事だし、学校としての決まりもある。」
確かにその通りです。
授業中に勝手にトイレに行かれては困りますので、報告はさせるべきです。
しかし、休み時間にも聞いてくる子、いませんか?
こうなっていると子どもの中では、「トイレに行くためには先生の許可が必要だ」という思考になっています。
休み時間なんだから、行きたければ行けばいいのです。
また、デザート食べていいですか?と聞いてくる子も、「デザートを食べるタイミングは先生の許可が出てからだ」と考えています。
それぞれ食べるペースは違うわけですから、自分が食べ終わっているなら、さっさとデザートに進めばいいはずです。
余談ですが、どんな順序で食べようがマイナスなことはないわけなので、好きなように食べればいいのではないかと個人的には思っています。
昔よく言われていた、いわゆる『三角食べ』も、何の科学的根拠もメリットもないので、ナンセンスな指導だと思います。
内線電話は子どもは取ってはいけないというルールがある学校も多いと思います。
ただ、不審者侵入など本当に急を要する連絡の場合でも、担任が不在時は連絡がつかない状況になります。
わたしは安易に禁止にするのではなく、正しい電話の取り方を指導するのが本当の教育ではないかと思います。
暗ければ電気をつければいいし、みんなノートを書き終わっているなと判断すれば、黒板を消しても良いのです。
過度なルール化が進むと、子どもは思考停止状態になり、少し考えればわかることでも担任の許可を得ようとする指示待ち人間になります。
そのような子は自分で物事の判断をする力が育たないため、周りの様子ばかり窺って行動するようになってしまうのです。
他人と同じように行動したがり、自分の意見を主張できなくなるのです。
先に述べた事例その③に繋がっていくわけですね。
指示待ち人間を作らないための方法
では、どうすればよいのか。
答えはシンプルです。
子どもを信じて、任せてみましょう。
ルールでがんじがらめにするのではなく、考える余白を持たせてあげるのです。
思考する場面を増やすことで、子どもたちは成長していきます。
トライアンドエラーを繰り返すことで、様々な経験や判断基準を学んでいくのです。
「そんなことして大丈夫かな?不安だな」と思う方もいるでしょう。
もちろん迷ったり、間違ったり、時には相応しくない行動をとってしまう子もいます。
しかし、失敗を通して学ぶこともたくさんあるはずです。
迷ったり、失敗したりしたときは、叱るのではなく、どうしたらよかったのか問いかけてみましょう。
「どう思う?」「どうしたらいいと思う?」
こう返すことで、子どもは自分の頭で考える機会に恵まれます。
可能な限り、考える機会をたくさん与えてあげましょう。
自分の頭で考える機会が増えれば増えるほど、成長するチャンスも多くなるということです。
まとめ
今回は、指示待ちや受け身の子どもにしないためにはどうするか、というテーマでお話ししました。
✔️結論
- 考えればわかることについては、必要以上にルール化しない
- 子どもたちを信じて任せてみることも必要
- うまくいかない時こそチャンス。叱るのではなく改善策を考えさせる
集団生活ですから、ある程度のルールはもちろん必要です。
「先生の指示通り動きなさい」という指導は、教師にとってはとても効率的です。
余計なトラブルを未然に防ぐことができます。
確かに学級も安定するかもしれません。
しかし、この「安定した学級」というのは、「教師にとって運営しやすい学級」のことであって、「子どもたちの力を育てる学級」とは必ずしもイコールにならないのです。
教育の目的は、子どもたちに将来役立つ力を育むことです。
この1年を無難に終えることが目的ではないのです。
学級運営のしやすさだけにとらわれて、一番の目的を見失わないようにしたいですね。
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