どうなる?小学校の教科担任制導入 5つのメリット・デメリット【専科のわたしがわかりやすく解説します】

教育時事

こんにちは。
昨日こんなツイートをしました。

22年度から、小学校でも中学高校と同じように教科担任制が開始となるようです。
このニュースから、次のようなことを考えていきましょう。

本記事の内容

  • そもそもこのニュースどういうこと?
  • 答申の具体的な内容は?
  • 教科担任制のメリットとデメリットは?

わたしは音楽活動を10年間→教員経験7年目の現役小学校教員です。
現在は音楽専科をしています。
これまでの経験をもとに、みなさんに有益なお話をしていきたいと思います。

そもそもこのニュースどういうこと?

公立の小学校は基本的に、全ての教科の授業を学級担任が教えています。
これを学級担任制と言います。

それに対して、教科ごとに担当の先生が異なる形態を教科担任制と言います。
これは主に中学校以降で採用されているかたちです。

今回のニュースは、中央教育審議会(中教審)が小学校でも2022年度から教科担任制を本格的に導入するという方針を打ち出した、というものです。

ちなみに中央教育審議会とは、ものすごく簡単に言ってしまうと、文部科学省に教育政策の提案やアドバイスをする機関のことです。

答申の内容をわかりやすく解説

まず、今回の中教審の答申の内容はこちらです。

全部読むと相当なボリュームなので、今回は教科担任制に関係する内容のみ簡単にまとめます。

✅要点

  • 小学校高学年から教科担任制を導入する。
  • 令和4(2022)年度を目処に実施。
  • 外国語、算数、理科を専科指導の対象とすべき

今回の答申では、小学校高学年、つまり5・6年生において、教科担任制を本格的に導入するとされています。
教科も外国語、算数、理科の3つが挙げられています。
ここについては、後ほどわたしの所感を述べたいと思います。

なぜ教科担任制を導入するのか

導入の理由については、次のように書かれています。

各教科等の系統性を踏まえ,学年間・学校間の接続を円滑なものとし,義務教育9年間を見通した教育課程を支える指導体制の構築が必要である。

「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(答申)

中学校以上のより抽象的で高度な学習を見通し,系統的な指導による中学校への円滑な接続を図ることが求められる。

「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(答申)

要するに、小学校のうちから中学校のやり方に慣れておく必要があるということです。

さらに、

教科指導の専門性を持った教師によるきめ細かな指導を可能とする教科担任制の導入により,授業の質の向上を図り,児童一人一人の学習内容の理解度・定着度の向上と学びの高度化を図ることが重要である

「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(答申)

小学校における教科担任制の導入は,教師の持ちコマ数の軽減や授業準備の効率化により,学校教育活動の充実や教師の負担軽減に資するものである。

「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(答申)

授業の質の向上と、教師の負担軽減も理由として挙げられています。

教科担任制のメリットとデメリット

メリット

  • 専門的な知識を持った教員の指導により、授業の質が向上する
  • 教師1人が担当する教科数が減ることで、授業準備の時間を削減できる
  • 同じ授業内容を複数のクラスで行うことで、教材研究の質が高まる
  • 複数の大人の目で子どもの様子を見ることができる
  • 担任との相性が合わない児童にとって、担任と離れる時間が確保できる

専門的な知識を持った教員の指導により、授業の質が向上する

当然ながら教師にも得意不得意があります。
逆上がりのできない教師に鉄棒を教わるよりも、できる教師に教わった方がいいに決まっていますよね。
教科担任制であれば、自分の得意な教科を教えることができるため、授業の質が向上します。
ここは子どもたちにとって大きなメリットとなります。

教師1人が担当する教科数が減ることで、授業準備の時間を削減できる

現在、6年生の教科は、国語(書写)、算数、理科、社会科、図工、音楽、体育、家庭科、外国語、総合的な学習の時間、道徳、学活 の12教科です。
うちの学校の場合、音楽は専科で教えていますから、担任は11教科分の教材研究や授業準備をしていることになります。
15時頃に子どもを帰して、定時の17時までの2時間弱でこれらの準備をします。(ここには休憩時間の45分も含まれています!!)
授業の内容を考えて、配布資料の作成・印刷、教材の準備をします。
さらに、宿題やテストの丸つけ、ノートを見てコメント書き、教室掲示などの仕事もあります。
しかもこの時間に会議や研修が容赦なく入ります。
どんなスーパーマンでも、これだけの仕事を定時までに終わらせることは不可能です。
ここが教員の仕事がブラックと言われる理由の一つです。
担当教科が1つでも2つでも減れば、少しは教員の負担軽減につながります。
決して十分とは言いませんが。

同じ授業内容を複数のクラスで行うことで、教材研究の質が高まる

わたしは現在音楽専科なので、同じ内容の授業を5回やっています。(学年が5クラスの場合)
担任が自分のクラスで授業をやる場合はその授業は1回きりです。
成功しようが失敗しようが、1度しか実践できません。
教科担任制であれば、複数回その時間の授業を行うことができるので、その都度改善していくことができるのです。
これは得意教科を作るという意味で、大きなアドバンテージになります。
失敗から学び、改善していくことで、授業力を爆上がりさせることができるのです。

複数の大人の目で子どもの様子を見ることができる

担任として、毎日クラスの子どもと接していると、悪い意味で慣れてしまって、子どもの変化に気づきにくくなってしまうことがあります。
教科担任制では教科ごとに違う教師がそのクラスに入るので、複数の大人の目で子どもを観察する機会が増えます。
たくさんの教師の目があることで、子どものちょっとした異変や、サインに気づくことができます。

担任との相性が合わない児童にとって、担任と離れる時間が確保できる

みなさんが子どもだった時にも、「どうしてもこの担任とは合わない!」と思ったことありませんか?
学級担任制の場合、1日中その担任と一緒に過ごすことになります。
担任との相性が合わなかった子にとって、これは地獄でしかありません。
教科担任制であれば、数時間でも担任と離れる時間ができるので、まだ救いがあります。
たとえ担任との関係が良好な場合でも、離れてリフレッシュする時間も大切だと思います。

デメリット

  • 一年間教えない教科ができてしまう
  • 学年のクラス数が多い場合、時間割を組むのが難しくなる
  • 児童と担任との密接な関係を作りづらくなる
  • 急な時間割変更は不可能
  • 単純に飽きる

一年間教えない教科ができてしまう

これはメリットとトレードオフでもあるのですが、1年間まったく教えない教科ができてしまいます。
たとえば算数は他の先生にお任せするとしたら、その年は算数の授業は一切やらないということです。
その一年間、担当外授業スキルは上がらないどころか、やり方を忘れてしまうこともあり得ます。
これは、今までずっと教えてきた先生にとっては、かなり怖いことかもしれません。

学年のクラス数が多い場合、時間割を組むのが難しくなる

大規模校にお勤めの先生はお分かりになると思いますが、年度始めに時間割をうまく調整するのはめちゃくちゃ大変ですよね。
特別教室の配当や、教材の数などの制限があるので、他のクラスと授業が被らないようにしなければいけません。
ここに担当教員という新たな要素が加わるため、時間割を組む作業が激ムズパズル状態になります

児童と担任との密接な関係を作りづらくなる

なんだかんだ言っても、担任とクラスの子どもたちは、密接な信頼関係で結ばれていなければいけません。
信頼関係があってこそ、円滑な学級経営を行うことができます。
担任と関わる時間が減れば、その分密接な関係作りは難しくなってきます

急な時間割変更は不可能

子ども同士のトラブル等で、授業時間がうまく確保できなかったなんてことありますよね。
学級担任制の場合は、状況に応じて学習予定を入れ替えるなど、臨機応変な対応が可能です。
しかし教科担任制となると、他の先生も担当時間が明確に決まっているため、簡単に予定変更とはいかなくなります

単純に飽きる

何度も何度も同じ授業をやるのは、単純に飽きます…。
毎日5回同じ授業を繰り返している、わたしの本音です。

教科担任制って結局どうなの?

以上のように、教科担任制も一長一短あります。
しかし個人的には、メリットの方が大きいのかなと思っています。

わたしは昨年度までは4年間学級担任をやっていましたし、今年度は音楽専科なので、どちらも経験しています。
その経験から考えると、仕事の負担が減るのはとても大きいと感じます。

教員以外の方には伝わりづらいと思いますが、現在の教員の仕事は、本当に多岐にわたります。
「え?こんなことまで?」と思うようなことも実際あります。(この辺りは別記事にしたいと思っています)
わたしも実際に専科になって、自分の時間が増えました。
その時間を、自己研鑽に充てるなど、有意義に使うことができています。
(※ただし、今のわたしは担任を持っていない完全な専科教員なので、今まで述べてきた教科担任制とは事情が少し違います。)

今回の提案が、高学年を対象としているのも良いと思います。
やはり低学年は、1人の担任がしっかりと見た方がいいと思う場面が多いからです。

教科については算数や理科よりも、家庭科や体育など、技能教科を中心に進めた方がいいのではと感じます。
が、これを機に「専門的な知識を持った者が教える」という流れが拡大していけばいいなと思います。

いずれにせよ、メリットとデメリットをよく理解した上で、子ども、教員ともにより良くなるように運営していきたいものです。

まとめ

今回は、小学校に教科担任制が導入されるということについて、深掘りしてお話をしてみました。

  • 令和4(2022)年度より、小学校にも本格的に導入予定
  • メリット・デメリットをよく理解して運用する
  • 個人的にはアリ!どんどん推進したい

学校現場というのはわりと旧態依然としていて、変化を好まない職場が多いと思っています。
しかし、より良いものはどんどん取り入れ、不必要なものは積極的に切り捨てていくという思考は、どんな業種にも必要です。
変化の激しい現代において、むしろ学校現場こそ変化することに柔軟であるべきです。

どのように学校が変わっていくのかわかりませんが、子どもや教師にとって、居心地の良い場所となるように変わっていかなければいけませんね。

皆さんのご意見も、コメントにてぜひお聞かせください〜。

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