1クラス上限35人へ。改正の影響とは?

教室画像 教育時事

2020年12月17日に、小学校における1クラスあたりの児童数の上限を40人から35人に引き下ることが文科省から発表されました。
このことによって、子どもたちや学校現場にどのように変わるのでしょうか?
現状と変更内容、それによる影響などをまとめてみました。
最後に現役教員の立場から思いを述べてみたいと思います。

現状

まず2021年1月現在の小学校の状況はこうです。

学年1学級児童数上限
1年35人
2〜6年40人
特別支援学級8人
複式学級16人

中学、高校はすべての学年が上限40人です。
ただし、平成13年度からは、都道府県の判断による弾力的な運用が可能となったため、実際には基準より少なめの人数で運用しているところが多いそうです。
ちなみにこの形になったのは1980年なので、実に40年間も変わっていないことになります。

変更点

今回の文科省の決定により、2021年度に小学校2年生を上限35人に変更。
その後1年毎に3年、4年…と順に上限35人へと引き下げていくようです。
なお中学校の変更は見送られました。

変更の理由としては様々なものがあると思いますが、主なものを挙げておきます。

  • 新型コロナウイルス感染対策として身体的距離を確保するため
  • 児童一人一人にきめ細やかな指導を実現するため

これまで長い間40人学級が維持されていたことを考えると、今回の決定にはコロナウイルスの感染拡大が大きく影響していると言えるでしょう。

35人上限になるどうなるのか

1クラスの上限人数が40→35人になると、どのような影響があるのでしょうか。
まずメリットを挙げてみます。

  • 担任の負担が減ることで学級運営がしやすくなる
  • 密状態がある程度解消される
  • 現状よりも児童一人一人の様子を見取りやすくなる
  • 教員の需要が増える

単純に子どもの人数が減れば、担任の負担は軽減されます。
ノートを見みてコメントを書いたり、成績処理をしたりすることも、5人違えば体感的な負担はかなり違います。
担任に余裕が生まれれば、今よりも手厚い指導や支援を行うことができるので、子どもたちにとっても良いことと言えるでしょう。
また、クラス数が増えることになるので、さらに教員が必要になります。
これから教員を目指そうと思っている人にとっては朗報でしょう。

次にデメリット、課題を挙げてみます。

  • クラス数が増えることで、教室や教材などの確保が必要になる
  • 教員の需要が増える反面、質の担保、給与となる財源の確保が難しくなる
  • そもそもそこまでの効果があるのか

教室や教材の確保に関しては、クラス数の多い学校ほど頭の痛い問題でしょう。
すぐに解決できる問題ではありませんしね。
教員も当然ながら、ただ数がいればいいというものでもありません。
教員による様々な不祥事が報道されている昨今、教員の質の問題は軽視できません。

また、教員は公務員なので、お給料は国民が負担した税金で支払われています。
教員の数が増えるということは、さらに税金からその給料を支払わなければいけません。
この改正にあたり、文科省は当初上限を30人まで引き下げたかったようですが、財務省との折り合いがつかず、35人に落ち着いたようです。
財務省は国の予算や税金の管理をしています。
財務省が文科省の提案をのまなかった理由はこれなのです。

現場にいる者として思うこと

ここからは、課題の3つ目について、私個人の考えも交えつつ深掘りしてみようと思います。

確かに、上記のようなメリットはあります。
が、個人的には35人では、まだまだ十分とは言えないと思います。
そう考える理由をお話しします。
昨年の緊急事態宣言が解除され、学校が再開された当時は分散登校でした。
1クラスを2つや3つに分けて時間差で投稿させた為、20人以下という人数で授業をしていました。
当然ですが、これがめちゃくちゃやりやすいんですよね。
余裕を持って授業できますし、何より子どもたち一人一人のことをしっかり見てあげることが出来ます。
「教員なんだから、何人であろうと一人一人のことをしっかり見取れないとダメだ。お前の能力の問題だ。」という声があるかもしれません。
まったくおっしゃる通りではあるんですが、一度でも授業をしたことのある人間であれば、それがいかに難しいことかは理解していただけると思います。
実際、完全にできている教員はほとんどいないのではと思うのです。
45分の授業の中で40人の様子をしっかり見取ろうと思ったら、それだけで授業終わってしまいますよね。
そういう意味でも、私個人の考えとしては20人前後が理想です。あくまで理想ですが。

実際に諸外国との比較をまとめているサイト様がありましたのでリンクさせていただきました。

「小さな学校」「小さなクラス」が世界の流れ
学校の「適正規模」「標準規模」などを掲げて日本では学校統廃合が進められていますが、「小さな学校」こそ世界の流れです。児童・生徒100人くらいが学校規模の世界標準です。

日本の1クラスの人数の平均が27.9人に対し、他のほとんどの国々では日本よりかなり少ないことがわかります。
OECD加盟国の小学校の平均は21.2人です。(2013年のデータ)
これを見ても、やはり日本の1クラス40人という設定は多すぎます。
35人になったとてそうでしょう。

加えて忘れてはいけないのは、日本の平均は27.9人という事実です。
クラスの人数が35人以上なのは首都圏などの限られた地域のみで、ほとんどの学校では35人より少ないのです。
つまり、今回の改正で影響があるのも、全国的に見ればごく一部の学級に過ぎません。
これではどれだけの効果があるのか疑問に思えてきます。
ここにも財務省の思惑が透けて見えてきます。

まとめ

今回は、学級の上限人数引き下げの話題について、個人的な所感も含めてお話ししました。
最終的に意味あるのか的な感じになってしまいましたが、一歩前進であることには違いありません。
今後、このような方向性がさらに進めば、子どもたちにとっての学びの環境は良くなっていくはずです。
色々と考えなければいけな課題はあれど、我々教員としては「子どもたちにとって何が一番良いのか」という視点で、常に考えていきたいものですね。

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